Lemuria [LIGHTSWORN] 譜面解説

ratさん主催の2018春のソフラン差分祭りに提出させていただきました、Lemuria [LIGHTSWORN]の譜面解説記事です。
例によってめちゃくちゃ長い上に、差分全然関係ないところまで語ってますがお付き合いいただけると幸いです。

 

・全体を通して


2018年春のソフラン差分祭り 第2回 提出譜面一覧にも書きましたが、実際のところソフラン縮小版Halcyon [CULMINATION]というコンセプトで作成しています。なので、難易度は★19~21、細切れの密集、で後半難の形が決まりました。
もう一つのコンセプトとしてムービー合わせというものがありますが、こちらは長くなるので要所要所で解説を入れます。
また個人的なこだわりとして、「EASY・NORMALクリアのことは考えない」「HS-FIXをMAX BPMのままで問題なくプレイできる」「加速はしない」の3つを守るようにしています。これについては単純に、自分がプレイしていて楽しいくないだけなんですが。


・開幕低速

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早速ムービー合わせのソフランが存在します。ムービー見ない人だと意味がわからないと思うので、一度ムービー付きで鑑賞してみてください。
配置に関しては、とりあえず音全部突っ込んでます。と言うとやる気ない感じに見えますが、例えば

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バイオリンの音をちゃんとアピールしていたり(プレイに必死で気づかない)

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露骨なまでの当たり譜面判定地帯を意図的に置いています。ムービー合わせの加速時は配置を簡単にしているあたりも個人的には親切設計だと思ってます。
また皿に時計の音を執拗にアサインしてますが、これは時計の音がこの曲において重要な立ち位置を握っていると考えたためです。
この曲のムービーはレムリア大陸が「海底に沈んだ〈現在〉」と、「海上に存在した〈過去〉」を行き来するムービーを行き来するもので、その2つを結びつけるキーとして「海底に沈みゆく懐中時計」があります。
そしてこの曲において時計の音が鳴るのは当然懐中時計がムービーに存在するシーンのみなのですが、いずれもその最後に「奥に進む」演出があります。これを過去へのタイムリープと解釈して、その象徴たる時計の音を重視したという形です。


・加速

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加速直後は簡単な譜面で疾走感を与える方針だったので、まずは簡単な配置から。

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ムービーが激しいのでそれに合わせた密集になってます。


・前半

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音数的にも、だんまくLemuria的にもあまり高難易度にならないようにしています。

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Halcyonリスペクト。

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曲に合わせて8分バスを1鍵→2鍵にシフトしている図。すぐ21トリルになるので気付かないですけど。

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ムービーが#34の最初の皿で現在に戻るので、それに合わせた段階的な減速。皿に時計以外を間違えて置いてしまったのが心残り……
最後の超低速は、上述の理由から段階加速して過去への没入を表現させたほうが良かったと思ってるんですが、だんまくLemuriaに囚われていてしまったのと、そもそも音が短いという問題があって今の形になりました。これも心残りになっていて、反省の多い7小節になっています。


・中盤

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ディスカバリー・チャンネルっぽいムービーから始まるのでディスカバリーチャンネル地帯って勝手に呼んでます。

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難易度の調整はここから始めています。連皿→段階加速→LN→皿複合の一連の流れで一つの山場を作り、その後ラストまで耐えゲーを続けさせる、という形にしています。

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ムービーのフラッシュに合わせた瞬間低速。個人的にこの譜面の中で一番キマったと思ってます。大満足。

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穏やかなレムリア大陸が現れると同時に減速、そこから波が荒れるのに合わせて加速。最後に一瞬現在に戻ります(「大災害・地殻変動」という字幕が表示されることから解釈)ので、一瞬のフィードバックを低速で表現しています。ていうか現在はラスト以外全部低速にしてます。

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ここからレムリアの崩壊が始まります。とりあえずLNで雷を再現。

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難易度も崩壊し始めます。上にも書きましたが、ここまでで一つの山場。

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小節線芸。もともと特殊な地雷予告だったんですが、地雷がHS-FIXに引っかかってしまうため泣く泣く変更。ムービーにもあんまり合ってないしいらなかったですねこれ。


・終盤

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再びLN雷。更にソフランで雷感をアップさせてます。一番やりたかったところなので、ctcさんに高評価もらえたのはかなり嬉しかったです。
中盤でのLN→段階加速→減速→LN→皿複合からここのソフランLNまでは勢いを大事にしてます。山場超えた瞬間なので軽いウィニングラン(実際はそうではない)も兼ねてます。実際しばらくは配置も楽。

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思い出したかのように降ってくるLNですが、ムービーは雷落ちてます。つまりそういうこと。あとゲージ削りの役割も。

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雷が落ちてますが、LNじゃないです。さすがに同じこと4回も繰り返すとダレるのと、難易度調整。ここから再び密度を上げてゲージ減らしにかかってます。

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ムービーが現在に戻るので再び減速。この後ずっと現在のままですが、曲とムービーの展開を考えてもう一回加速させてます。段階加速なのはムービー合わせのため地味にこだわってます。

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Halcyon [CULMINATION]のセルフオマージュで縦連含みの二重階段によるラスト殺し。ちなみにHalcyon時代に僕は1回この二重階段にハード殺されてます。超ショックでした

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Halcyonビーム。正直最初ムービーが「レムリア……いい奴だったよ……」にしか見えなくて笑っちゃったんですけど、いや今でも笑うんですけど、まあムービー合わせでビームです。


・ムービー合わせとは?
上から何度も「ムービー合わせ」という単語を使用してきましたが、個人的にこれはかなり重要な要素だと考えています。曲・譜面・ムービーの3要素でBMSが成立するならば、譜面は曲のみでなくムービーとの相互作用も考えて作るべきであると。
例を挙げればBOF2006の作品であるクリック☆マスターヒロシ。これは「鍵盤を叩けば音が鳴る」というコンセプトで作られたBMSで、実際まさにその通りの作品に仕上がっていますが、インプレに「BGAのお相撲さんの色が変わるところはしっかりスクラッチ音と同期させて欲しかった」というコメントが有りました。コンセプト上、「プレイヤーがBMSを支配する」という関係になる作品なので、曲だけでなくムービーも支配したいという考えが出てくるのはある種自然で、僕自身も大いに共感できるものでした。
一方で、僕がソフランというものに惹かれる理由の多くは「曲との一体感」が得られるというもので、いわば没入型BMSというものになります。譜面・ムービーまで含めてBMSの世界に没入し体験するという形の作品で、Aleph-0など近年のBOFU上位作品にかなり多く見られるものです(地雷アート譜面もここに含まれます)。こういう作品においては、譜面が曲・ムービーと乖離してはならないのです。僕はこっちのタイプのほうが好きなので、どうしてもギミックや配置先行の譜面は好きに……それ以上いけない
今回の譜面を作る上では、ムービーまで込みで譜面を鑑賞した時にLemuriaの世界を体験できるようなものを目指しました。観賞用譜面との住み分けが難しく、結局ただ地力で殴るゲームになってしまいましたが……
開幕の低速がやたら難しいのは、「この程度ができない人間にレムリアの過去を経験する資格はない」という一種の足切りです。


・おわりに
よくもまあ長々と3000文字に渡って語ってきましたが、とにかくいろいろ考えて譜面作ってたんだと思っていただければ幸いです。あくまで自分なりのBMSの楽しみ方がここにあるというだけで、このスタンスを他人に強要するつもりは一切なく、また他人から干渉されるつもりも一切ありません。
「本当にこの曲でこの譜面をやりたいのか?」という問いを常に自分に投げかけながら作ったのでずいぶん疲弊してしまい、反省点も幾つかありますが、それでも大満足の一品です。
難易度高過ぎる上にソフランするので一般には受け入れられないという自覚こそあれ、自分がプレイしてて超楽しい&ハードした瞬間超嬉しかったのでそれでいいんじゃねえかなと。
もしここまでちゃんと読んでくださった方いらっしゃれば、ありがとうございました。読んでなくてもありがとうございました。