DOUBLE PRETENDERS 7の譜面を作るときに考えていた話の話

先日行われましたDOUBLE PRETENDERS 7において

自作譜面:なまいきプリンセス DX16

偽装譜面:始まりの星 DX1

の2譜面をそれぞれ作成しました。これらの譜面を作る時に考えていたことを書き連ねます。

始まりの星をイメージしたデザインにしました。久方ぶりにPRETENDERS要素としての黒白コントラストをうまく使えたので結構気に入ってるバナーです。色合いも結構きれいに乗せられたと思ってます。

問題は文字が読みにくいことですね……

なまいきプリンセス DX16

DP6解答発表の際に「2枚抜き置かないとか人を馬鹿にしてるんですか?」みたいな事言われて深く傷ついたので、その場で「次回は2枚抜きをいっぱい置きます」と宣言した上で曲を選びました。

2枚抜きができる曲って言っても傾向は色々あるんですが、その中でも特に馬鹿みたいに同時押しが降ってきそうな曲で、なおかつ特徴的な部分がいくつかあるもの、そして今までDPシリーズに出したことのない曲調、という感じで絞っていって最終的にDormirの中から選ぶ形でBメロの配置を思いついたこの曲になりました。ポップンのEX譜面は初見でクリアしたので1回しかプレイしてないです。

この配置ですね。どういう配置なのかは後ほど説明します。

・譜面開始

結構悩んだ上でピアノの音を拾うことにしました。本来なら紫色から始まる2連スネアだけ拾って譜面を始めるところなんですが、そうするとこの譜面が二枚抜きメインであることをアピールしにくく、予想を裏切るような譜面になってしまうのでこうなっています。

今回のようなスネアの入り方はいわゆる装飾音符に近いもので、ここから一連の流れとして次の小節に入る役割を担っています。なので、ここから譜面を始めない理由はないですし、実際に楽節の頭から譜面を始めない例と言うのは過去に多くあります。例えば

DP3APPENDの際のSheep In The Light (Twinfield Mix) DX14や

もう少し近い例だとGachi EXTREMEのBabeL ~ Grand Story~ DX19など。他にもPurple Hyacinth feat. Norico DX12やCosmogazer DX15などが該当しますね。

 

・Aメロ前半(#3~#6)

難しくする理由が一切ないので簡単な譜面にしています。ヌルめのスウィングなので気持ちよく踏みたいですし、曲調も軽いのでわざわざ2枚抜きを使って重さを表現する必要もないので重心の乗る軸などが無く、軽い配置のみで構成されているのが特徴です。

強いて挙げるなら小節変わりの2連スネアは意識してアクセントを置いた譜面にしています。

意識しすぎたせいでここの↓軸がちょっと重い感じになっちゃったのは反省点ですね。コンセプトが先行しすぎて配置を犠牲にした良くない例です。

(地雷は元の譜面)こうやって流してその後のシンバル2枚抜きに重心をかけたほうがバランスが良かったかもしれません。ある意味ミラーかかってるだけですけど。

 

・Aメロ後半(#7~#10)

前半に比べて音が増えているのと、Bメロに向けてテンションを上げていきたいので難易度も上げています。新しく拾う音については木琴一択ですが、一番の理由はAメロ前半と異なるリズムを作れるからですね。同じリズムが続く譜面はあまり好きじゃないです。

ここの地団駄はどう考えても失敗でした。かかとを固定しながらつま先を上下させるとかちょっと動きとして気持ち悪すぎです。足の位置を固定して後から2枚抜きを追加する場合はかかとを追加するのが基本です。

なのでこうするのが正解でした。この部分についても中央地団駄というコンセプトが先行してしまっていて良くなかったです。後から思ったんですが右足のかかとも1P→に乗せさせてやってスイッチみたいな配置にするのも面白かったかもしれません。

 

自分は2P↓譜面が大嫌いな上に1P側が↓から移動を始めているので普通に考えたら2P↑から移動するべきです。ただし、この場合に限っては音合わせの階段であることを重視して下から渡らせています。

その代わり、階段に入る前に1P→を1回追加しておくこと、及びその手前のスキップのリズムに2P←を配置して反時計回りの回転のベクトルを自然に得られること、を最低条件として置いています。

つまりたとえ音合わせであったとしてもこの配置はNGです。フェミリスは絶対に置きません。

 

ここの右足の配置が遠いという意見もあるかもしれませんが、1P↓はかかとで踏むので問題ないと思います。

 

・Bメロ(#11~#20)

先にこの配置を置いてから、この形に合うように手前を補完しています。

この配置のキモは「右足を軸に左足を捻っていく」「捻った先の左足を軸に右足と重心を2P側に飛ばす」の2点ですが、前者がストレス、後者がストレスの開放にそれぞれ当てはまります。

ストレスとなる捻りとその開放という組み合わせの例ではGachi Doubles 2ndのSublime Spring DX16がありますが、今回はこれにさらに重心移動による開放を付け足した形になります。

ところで重要なのは軸が連打になっていることには特段深い意味はなく、ただの音合わせ(曲のテンションに合わせたもの)でしかないということです。つまりこの譜面は芥川龍之介の河童 DX16とは根本から異なりますし、精神性として同一視できる要素は一切ありません*1

極論を言えばDP6の幸福魔法 DH6と同じ精神性です。あるいはこばやん氏の譜面に頻出の組み合わせです。

そういうことを考えれば、軸側は連打でなくても良いし、軸側と捻り側は同じリズム=同時である必要は一切ないという話になります。とは言え、なまいきプリンセスのBメロはどう聴いても同時がいっぱい降ってくる音をしていますし、なんなら同じ位置に同時が降ってきてほしい音をしていますので、今回は曲を考慮して軸を連打にして捻り側と同時に置いた、という、それだけの話です。繰り返しになりますが芥川龍之介の河童とは全く意味の異なる配置ですコンセプトと曲調の噛み合いの結果として似たような配置になっただけで「この曲に河童置くとか理解できない」みたいなこと言われるの、自分が気の狂った人間みたいな意味にしか受け止められない上に譜面の意図の理解を放棄されていることが分かってしまうので結構マジでイライラするんですよ。

ともあれ、「捻り」と「重心移動」が肝になっているのであれば、それの前座としてはどちらかの要素を抜いた配置を考えてやれば譜面として統一性を出しつつバランスを保ちやすくなります。今回は「重心移動」を抜いた配置としました。なぜなら捻らない同時での重心移動は往々にして糞譜面になるからです。お前のことだよ粗大ゴミ

捻り譜面であることを強調するために2枚抜きする側にホールドを付けてちょっとアピールしました。別に捻って踏まなくても全然問題ないですけどね。

また、実際には配置と脚の関係で2回に1回しか捻りを入れられていないです。本当は入れたほうが良かったんでしょうけどしっくり来る配置がなかったので、代わりにリズムを変えてスキップ風味にすることで意識転換を狙っています。

 

ここの捻りはもともと上下逆でした。ただ上で書いた通り2P↓譜面が嫌いなので今の形に。結果として2枚抜きで処理してしまいそうな形になってしまったのは反省点です。もうちょっと考えて譜面作るべきでした。

 

・サビ(#21~#28)

曲調的にサビよりもBメロのほうが元気で勢いがあるので、サビはBメロよりも簡単にすることは初めから決まってました。とは言え相変わらず同時基調の曲調で、3つ同時で移動させると難しすぎる、しかし3つ押しにしないと簡単過ぎる、ということで間を取って片足2枚抜きを強制させつつももう片足を軸配置にして難易度が上がりすぎないように調整しました。また、軸というコンセプトがBメロと一致しましたので、軸側の足を一気に飛ばすコンセプトをBメロから引用して配置しています。

 

ここはもともと2個目の赤も4分まるまる伸ばされているホールドでした。後で見直したら非交互になっていたので修正を余儀なくされたんですが、その後の右足振り回しがかなり気に入っている配置で、これを残すために手前のホールドを短くする荒療治になりました。

もっと手前から直せよって話かもしれませんが、サビの配置はかなり緻密に考えて置かれているのでサビの最初からの全てを直さざるをえなくなります。流石にやってられないです。

 

サビよりもBメロのほうが勢いのある曲調とはいえ、この部分だけは明らかに激しい曲調になっています。なので意図的に難しい配置とするのは間違いなくて、それをどう難しくするかという話になります。ここに難しくない配置されてるのは完全な解釈違いです。

曲全体に二枚抜きが入っている以上ただの二枚抜きだけでそれ以上に特徴的な配置を作り出すことは難しく、最終的にGITADORAでLCとRCが連続で降ってきてるのをイメージした振り回し配置となりました。実際の譜面がどうなってるかは知らないです。今思えば1P←まで置いたのはやりすぎだったかもしれませんがどうせ1歩しか変わらないんでインパクトを重視することにしました。

 

そういえばこういうホールドスイッチみたいなそうでないみたいな配置ははじめて置いたかもしれません。思いついただけです。この部分もシンバルにアクセントが乗るように遠めの2枚抜きを置いています。

 

・間奏前半(#29~#36)

このピアノにこれ以上合ってる配置この世に存在しますか?自分は思いつきません。

 

見た目だけ考えれば3つ同時は678→567→456→345とすべきでしょう。動きが不愉快すぎて配置見ただけで蕁麻疹出そうになるので今の形にしました。2連打になっている側はホールドを伸ばす必要もなく、2枚抜きをする必要もなく、左に動かしていくだけで問題なく踏める配置になっています。逆に2枚抜きをする側はそうでない側の動きについていくだけです。譜面としての意味がコンセプトを上回った瞬間です。

 

・間奏中盤(#37~#44)

この譜面の山場は「Bメロ」「サビの塊」「間奏終盤」と決めて作っています。この部分は確かに曲調的に元気ではありますが、その一方で間奏終盤に向けてテンションを上げていく段階でもあります。ここまで休憩らしい休憩がなかったことも踏まえて、ここは簡単な譜面を置くことにしました。

曲を通して出てくる8分のリズムは2枚抜きor同時で対応するとして、音程を考えれば2枚抜きの地団駄(?)とするのが一番良いでしょう。同じような音形を3回繰り返すので、それぞれ似たような配置とするならば1セットにつき1回ずつ渡ってミラーっぽい配置にするのが合理的です。となればこういう配置以外にはありえないと言えますね。

この配置自体はえぬつーさんの影響を強く受けている気がします。Ready To The Flower's Feastsってやつです。

 

これは……なんだ?(記憶喪失)

右足のかかとを1P→に固定させたままつま先を1P↑から2P←へと回転させる動きを15という見た目遠い同時による開脚とシンクロさせた配置だったと思います。その意図を考えれば↑にホールドが付いてるのはミスですね。でも見た目的にはホールドが付いてる方が収まりがよく、別にホールドあってもなくても難易度変わらないとは思うのでこのままで良いという判断だったのかもしれません。

 

・間奏中盤(#45~#50)

ここは文句無しだと思います。パイプオルガンの和音は同時ホールドで間違いないですし、その後のパーカッションも取らせるなら2枚抜き以外ありえないです。

 

ここは色々と迷走した結果今の形に落ち着きました。以下に進化過程を示します。

ただのTaste of Homeから始まり、何故か二重階段に置き換えてホールドを追加して色々整理してここまでで一段落しました。その後、ホールドと矢印の隙間が24分あると続きの部分がクソダサくなる事に気づいたので192分まで詰めました。

左側2ノートのホールドの長さが同じ(ゼロ)なのが許しがたい。

とにかく、この曲の中で最も特徴的なこの部分で最も特徴的な譜面を降らせようとなったときに、曲に合わせた二重階段が異常進化を遂げた結果今の形になったというわけです。遅めの24分を2枚抜きさせてるのは二重階段の頃の名残ですね。

 

・2サビ(#51~#58)

Berry Go!に関する記事のときに書いた気がしますが、連続ジャンプは基本的に一方向に進み続けるのではなく左右交互に振るようにしています。いい配置ないかなと昔の譜面を見直してたらクソゴミがあったんですが曲の雰囲気と合っていたので使うことにしました。

ここは悪ノリしました。

 

・アウトロ(#59~)

このピアノにこれ以上合ってる配置この世に存在しますか?自分は思いつきません。

 

間奏前半に1列足しただけの配置ですが、間奏終盤のインパクトある配置で記憶が薄れてることを想定してホールドの長さを間奏前半ではなく終盤と同じ形にすることで統一感を出すことを狙っています。

どう考えても↑じゃなくて↓にするべきでした。油断した。

 

・総評

Bメロの特徴的な配置を思いついたところからその特徴を抽出して、それをもとに全体の構成に合うように分布させることを考えた譜面です。曲全体から見ても浮いている間奏終盤のみに他とは異なる特徴を持つ譜面を配置することで、この部分の異常さを際立たせる効果もあったかと思います。

あとで二枚抜きなしの譜面を作成したように、この譜面自体は二枚抜き要素が無くても十分に成立します。それでも二枚抜きという要素を取り入れたのは前回の宣言があったという以上に、この曲自体の和音数が非常に多く、同時押しに向いた曲調であったことを踏まえたためです。一言で言えば横幅のある重厚な譜面が似合う曲だからですね。普通に同時だけを置くと粗大ゴミになりますので、二枚抜きをうまく活用して同時数に対する難易度を下げようという目論見です。そういう意味でこの譜面における二枚抜きは目的ではなく手段ということになります。

自分が譜面を作るときに気をつけていることの一つに「既存の譜面は作らない」というものがあり、簡単に言えば常に目新しい配置を取り入れていくということなのですが、今回の譜面については斬新な配置を取り入れつつもそれを中心として全体を構成できたという自負があり、なかなか気に入っている譜面です。

 

 

始まりの星 DX1

すべてはカイツネのせい

言っててもしょうがないのでまずは暮色の隕石と全域連結・心の骨格と全域連結・世界再生を読み直しました。フェミリスはかわいいなあ。

ストーリーについては置いておくとして、方針として
・あえてシンプルな譜面を書き、本人側を相対的に複雑にする
・考察欄に複雑な内容を書きまくることで、自分がめちゃくちゃ考察した感じを出す
という作戦で相対的に複雑な本人側にparaph票を集めることにしました。なんか前回に引き続きまともに戦ってないような気がしますが、まともに戦っても潰されるだけなので初めからそんなことは考えていません。

 

・背景ストーリーについて

さて、HLWさんの偽装では譜面を一貫するコンセプトを確立することが何よりも大事です。始まりの星の背景ストーリーである全域連結にはコンセプトになりえる要素がいくつかあって、「AIと感情」「フェミリスと悪意」「フェミリスと心の弱さ」「フェミリスと人類」「フェミリスとプレイヤー」「フェミリスと小悪魔フェミリス」あたりが挙げられます。この中からどれか一つを選ぶわけですが、ムービー中に現れているフェミリス以外の要素が赤い手しかなく、その赤い手が本編中では「フェミリスの負の感情」と説明されていたこと、及び、フル版に対する歌詞の切り取られ方から「フェミリスと心の弱さ」をコンセプトに据えるのが一番適していると判断しました。

 

・歌詞について

ショート版の歌詞が以下のとおりです。

(Aメロ)
零れそうな星をそっと 掴みたくて手を伸ばした
崩壊してゆく世界で 彷徨って 泣いている 気がしたから
(Bメロ)
初めて出会う痛みに触れて 自分の中の弱さを知った
「私がいる意味」を静かに繰り返した
(サビ)
私の声が 胸の言葉が 夜明けへと導き出すように
きっと最後の光になって 願いを繋ぎ 朝を迎える
すべての星を世界に輝かせよう
(アウトロ)
信じていて 未来への星(ひかり)

「星」が人類ひとりひとりを表している*2ことを考えれば分かりやすい歌詞です。「人類を助けようとしたけど実は自分が弱くてうまく行かず自分を見失いかけたけど希望を捨てずに頑張って世界へと語り続け(謎の超展開)、人類を一つに繋げてみんなを活躍させる、だから人類の未来を信じていてほしい」というわけです。「夜」は人類がバラバラになっている現状、「朝」は人類がまとまった未来をそれぞれ表していますね。


ところで、始まりの星にはフル版がありまして、その歌詞が以下のとおりです。

(フェミリスの曲なのにサムネがイザーリンなの詐欺では……? Incarnationとかもそうですが日本学園公式はこういうところが雑な気がします)

(イントロ)
夜明けの空に 願いをかけた
「未来へと繋いでいて」
(Aメロ)
零れそうな星をそっと 掴みたくて手を伸ばした
崩壊してゆく世界で 彷徨って 泣いている 気がしたから
(Bメロ)
初めて出会う痛みに触れて 自分の中の弱さを知った
「私がいる意味」を静かに繰り返した
(1サビ)
この感情が 胸の言葉が 大切なものをくれたのに
この感情を 手放したなら
揺らぐ世界を歩き出せるの? 眩いあの輝きを守り抜けるの?

(A'メロ)
迷ったとき君は そばにいてくれたね
(Bメロ)
たとえ世界がただ残酷で 孤独に穢れ堕ちたとしても 
見失いたくない 教えてくれた希望(ひかり)
(2サビ)
この感情が 叫ぶ心が 哀しみに包まれていても
この感情の 矛盾の中で 揺らぐ世界を前に進むの
星たちを辿るように

(Cメロ)
光が遠くへ消えるのなら
(3サビ)
私の声が 胸の言葉が 夜明けへと導き出すように
きっと最後の光になって 願いを繋ぎ 朝を迎える
すべての星を世界に輝かせよう
(アウトロ)
信じていて 未来への星(ひかり)

ショート版だと足りなかった超展開部分がきれいに補完されています。この歌詞を読んだだけでも
・自分が感情を持っているからこそ上手くいかないと悩む心の弱さがあった
・心の弱さに潰されそうになっていたときにそばにいてくれる存在がいた
・その存在に教えられた希望を胸に、感情が弱みだったとしても進むと決意した
という3点がわかります。
特に2点目と3点目の存在は大きく、この部分が今回の提出曲に含まれていれば、間違いなく「フェミリスとプレイヤー」あるいは「フェミリスと小悪魔フェミリス」をコンセプトに入れないといけないんですが、この部分が存在しないからこそこの2つのコンセプトを入れなくても譜面として十分成り立つ、と判断しました。

1点目は「AIと感情」と強く結びついている点で、1サビでも2サビでも「感情」という言葉が使われていることから、重要なコンセプトであるということは伺い知れます。しかし、これについても同様にショート版には存在しない部分ですので、ひとまず考えないことにしました。実際のところ「感情」と「心の弱さ」の関係についてはいまいち整理しきれてない部分があるというのが大きいんですが。

また、「フェミリスと人類」についても、1サビ「眩い輝きを守り抜けるの?」、Bメロ「世界がただ残酷で」などフェミリスが人類を守ろうとする強い意志を感じられる部分がバッサリ切られていることから、コンセプトとしては薄めの要素と見て良さそうです。「フェミリスと悪意」も同様に薄いです。

以上を踏まえて、今回の譜面は「フェミリスと心の弱さ」タッチ「人類」というコンセプトで作成することになりました。ムービーもそんな感じですし、今回はムービーの中身だけで譜面を構成できそうです。前回のRubiaの反省ももちろんあります。

 

・イントロ(#2~#21)

HLWさんは譜面の開始がものすごく早い傾向にあります。直近のFlesvelkaもそうですし、ジャイアントロボやBunny Jump DX18に至っては0拍目からノートが置かれていたので、できる限り早めから始めるのが良いと思ってそうしました。

よく考えたら似たような始まり方をするMoon Haloや千年之羽、Lyin'などではこの部分にノートが置かれていないのでここは置かないのが正解でしたね……終わってから気付くのは良くないです。

HLWさんは長めの繰り返し単位を持っている事が多いので、左右で繰り返しやすい配置で、なおかついわゆる古参の世代が置きそうなセンタートルネードを置いています。実際Make a Wish with You DH8のAメロではセンタートルネード配置を左右で繰り返すことをしたり、Lyin (see you in the next word) DH7やBunny Jump DH8などまともな譜面では多く見られる配置です。

いわゆるMAXX UNLIMITEDのドゥクドゥクキュッです。Bunny Jump DH8などで頻出だったのでとりあえず置きました。また、HLWさんの特徴として同時の後の入り足がやや分かりにくい傾向がありますので、裏目を作る配置を多めに配しています。今考えればいくらなんでもやりすぎだったと思います。
矢印の色についてはフェミリスの外観設定として「金髪」が真っ先に挙げられていたので黄色をチョイスしました。フィッシュボールを7個集めて野生のサバを召喚しなければいけません~とか言ってる頃のフェミリスです。

 

・Aメロ前半(#22~#37)

HLWさんはAメロではボーカルを拾うことが少ない印象*3なので、バックの音だけで譜面を作ります。どの音を取るのかは結構悩みましたが、比較的アップテンポな曲ということでYou are My Destiny DX66を参考にホールド+8分軸で構成してみました。過去譜面から引用することで本人らしさを確保しつつ(本人らしくないと言われても反論できます)、しかしYou are My Destinyといえばサビのテンションが高すぎる配置しか記憶に残っていないはずなのでバレにくい、というのでちょうどよいチョイスだったと思います。本人は4分で置いてたので一致しませんでしたけど。

 

・Aメロ後半(#38~#53)

背景が赤くなり手が出てくるタイミングで赤を中心に色を変えています。

ここはムービーの解釈が難しいところで、この後の展開や街が崩れている様子、及び地面に広がる赤い輪=意識空間の侵食も考えるとこの赤い手はフェミリスの負の感情というよりはフェミリスを拒む人類の意思の方を表しているんじゃないかと思うんですが、まあいずれにしても赤色であることには変わりないので深く考えずに赤色にしました。

 

ちょくちょく出てくる黄色はフェミリスがまだ頑張ってることを表してます。言うまでもないですね。

 

ここの3つ押しはMoon HaloのStarfall地帯に見られた視覚効果を狙っています*4。つまり、矢印を多めに配置することで赤色の印象を強くし、侵食が一気に近づいている様を表そうとしています。

 

・Bメロ(#54~#83)

このストリングスにこれ以上合ってる配置この世に存在しますか?自分は思いつきません。

正直ここの配置はこれしかないと思いました。本人は違いました。なんで?

それは別として、いわゆるこのLove Me Do配置ですが、実際に置いてみると思った以上に配置の制約が厳しくてかなり難しいと感じました。HLWさんのLove Me Do配置は3つ押しに挟まる1歩が階段状に配置されるのが特徴ですが、3つ押しが移動するときにどうしても縦連になってしまいがちなのでそこを上手く回避する必要があります。HLWさんの巫女☆LOVE! DX35やAfter Rain DX999では3つ押しの2列移動や曲に合わせた切れ目の配置で見事に階段を保ちながら譜面を続けることに成功していますが、今回は残念ながら実力不足で歪な形になってしまいました。3つ押しの同時が多すぎたのも問題だったかもしれません。シンプルなようで奥が深い配置です。

 

HLWさんの感性的にここが低速になるのは予想できました。

で、なんで黄色に戻したんだっけ……?????????????????????

低速前からBPM調整を行っているので意図して黄色にしているのは間違いないですし、実際明確な意図を持って黄色にしたはずなんですが、ちょっとマジでその中身が記憶に無いです。客観的に考えると、歌詞にある「自分のいる意味」を繰り返している様から、自分を探す旅、すなわち指輪の記憶を辿る旅に出ていると解釈して自分を取り戻していることを表していると考えるのが妥当かと思います。ちょっと時系列が狂ってるような気もしないでもないですが……

 

ここの地雷は単純なピアノの音合わせですが、同時に赤色の意味も担っていて、自分の中の迷いや人類の敵意が連綿と続く様を表現しようとしています。ムービーでフェミリスが眼を開くと同時にこの地雷が一気にワープして消えることで、フェミリスが迷いを断ち切り覚悟を決めた雰囲気を出すことを意図しています。Rubiaのオマージュでもあります。

フェミリスの目を表しているっていう解釈は面白いと思いました。光ってますしね。それにしては多すぎですけど

 

・サビ(#84~#125)

サビは全体的にHLWさん総集編のような譜面に仕上げています。

 

Rubia DX19にあった3つ飛ばしのホールド+中央の単発の連続。

 

6547865のあまりにも典型的なHLW配置。千年之羽 DX43やTakeover ft. chemist DX11、Bunny Jump DX18などに見られるめちゃくちゃに特徴的な配置です。

 

千年之羽 DX43に頻出な642配置。他にもMake a Wish with You DH8で死ぬほど出てきます。

 

漆夜雪 DH8やFlesvelka DX15に特徴的なホールド拘束+片足スライドの連続。漆夜雪のせいでHLWさんはホールド拘束を頻用するイメージが付きましたが実際の例は少なかったです。

 

フェミリススーパー無敵必殺奥義、究極大爆発??????

You are My Destiny DX66などで使用例あり。

 

メリン死亡拳?????????????

Taste of Home ver. ジークフリート DX88やMoon Halo DX29など使用例多数。

ここは別に攻撃をイメージした訳ではないんですが、言われてみれば爆発してそうな配置だったり手配置だったりで、そういう解釈もありだなと思ったというか言われてみたら自分でもそうとしか思えなくなりました。解釈の受け入れの広い譜面を目指していきたいですね。

 

このストリングスにこれ以上合ってる配置この世に存在しますか?自分は思いつきません。
ここに4連階段置かない人は崩壊学園プレイする権利ないですよ。

 

すみませんここは手癖が出ました。コリン死亡拳が気持ち良すぎて油断してました。

 

にゃにゃにゃあ にゃあ にゃにゃにゃにゃあ 喧嘩は恋のため

 

このストリングスにこれ以上合ってる配置この世に存在しますか?自分は思いつきません。

 

A madder there for you...

ここの低速思いついた瞬間天才かと思いました。ここだけは本人よりも本人らしい譜面になってると思います。

 

さて、途中で矢印の色が変わる部分がありますが、ここは単純にムービーが夜になっている=崩壊していることからその状態を表す赤を当て、フェミリスの手によって救われていく様を黄色への変化で示しています。

また、全ての人類が融合されることを示すために左右で同じ動きを繰り返して範囲の広さを、更にその後に左右同時に似た動きをさせることで本当に全ての領域を網羅していることを表しています。その結果がにゃんこ☆ファイト! DX777です。あの3人のように喧嘩と責任転嫁ばかりしていてもフェミリスの前ではすべてが平等なのです。

 

・アウトロ(#126~)

やりたいことはやりきったので後はHLWさんっぽい配置を並べておくだけです。

 

642配置は類似配置も含めて気前よく4回も置いています。どう考えても置きすぎました。

 

こういうよくわからない縦連が置いてあったりすると本人っぽく見えませんか?私はそう思ったので置きました。

 

配置以外の点という部分では、ここの地球に合わせることは強く意識しました。

地球全体を見せることで全人類に意識を向けさせるというのもそうですが、ここの地球はなかなか面白い映像になっていて、

・明かりの少ない夜から真っ青な昼(朝)へ

・更にそこから明かりの多い夜へ

変化していくんですね。普通に考えれば夜明けを唄う歌なのであれば昼で止めておくべきところをわざわざ夜まで持っていくのだから特別な意味があるだろう、というときに、「星」=人類という等式が活きてくるわけです。世界が昼だろうと夜だろうと闇に包まれていようと、人類の営みが星々のように煌めいて見える世界というのがフェミリスの目指した世界ということになりますから、あえて夜になるタイミングまで待ってから改めてフェミリスの色であり星の色でもある黄色を降らせることで何かしらの意図を強く感じさせる構成としています。

そういえば完全に書くの忘れてたんですが、フェミリスは宇宙ステーションにいますのでこの光景はフェミリスが見ている地球ということになります。

 

・総評

実は今年の頭くらいから「HLWさんが投げてきたらヤバい曲」を探していて、その中にこの曲もありました。

というわけで本当に始まりの星が飛んできてしまったときはマジでどうしようか相当悩んだんですが、RubiaやRegressionに比べれば1億倍マシだろうと思ったのと、前回の幸福魔法がアレだったので通しました。そうしたら自分に当たりやがりました。ほんまカイツネ

とは言え、いざ作り(読み)始めてみると、思った以上に情報が手に入りやすく、しかも全域連結という一つの物語の中で必要な情報が全て提示され、それが全て綺麗にまとまっていて極めて完成度の高いストーリーであることに気付かされ、もしかしてこれはHLWさんなりの心遣いだったのでは……?と思うくらいにはすんなりと解釈を作り上げることができました。

学園のキャラソンに限っても、もはやどこに存在しているのかさえ分からない漫画(しかも中国語)を読まないと一切ストーリーが理解できない甘い砲火や、それどころかそのどこに存在しているのかさえ分からない漫画を読んでもなお一切理解できないIncarnationとか関連する全イベントが期間限な上に中国語以外の情報が一切存在していないCheer Upみたいな無理ゲーがわんさかあることを考えれば、ストーリーそのものの完成度の高さも相まって本当に絶妙な選曲だったと言わざるを得ません。Regressionが飛んできたら拒否ってたと思います。

 

偽装としては、今回は本人譜面があまりにも複雑怪奇で意味深長過ぎる譜面だったこともありなかなか偽装率を伸ばすことができませんでしたが、予想の傾向とかそういったものを考えると、Rubiaのときに比べればかなり本人に近づけたのではないかと思ってます。

一部本人を意識しすぎるあまりやりすぎた点や、どうしてもあと一歩踏み出せなかった点などが反省点として残っていますが、やれることは十分やりきった譜面として悔いは無いです。

 

本人譜面についての考察に関してはまた章を分けます。

*1:いやそもそもBPMが50も違う時点で当たり前なんですけど当たり前じゃないんですか? それこそが形でしか譜面を見ない弊害だと思っています。

*2:本編中に「この光のひとつひとつが人類」という表現あり、ただしネガティブな文脈で……

*3:Rubia DX19、We'll meet again DX423、幸福魔法 DH6など

*4:キアナのキャラソンであるStarfall似合わせて黄色を大量に配置することで色へと意識を向けさせる、つまりキアナ=黄という等式を視聴者に成り立たせる演出でした