斜に構えたオタクにオススメのクラシック入門曲

「クラシックに興味あるけど名曲100選みたいなのはにわかっぽくて聴きたくない」

「クラシック好きにオススメを聞くと難易度高い曲を教えられる」

 

みたいな悩みを持つマイナー厨オタクは多いと思います。そんな皆様に送る「クラシック名曲100選には入ってないけどネームバリューがあって難易度低めの曲」をなんとなくオススメしようというのがこの記事の趣旨です。

ちなみにクラシックという分野は割と権威主義が通用する分野でもありまして、というのも名曲である以上多くの人々が耳にしたうえで非負の評価を下しているというわけである程度のクオリティは期待できるわけです。そもそも100年200年の時を超えて現代まで名前が残っているわけですから、たとえそれが当時の権威の好みに大きく左右されたとしても、まあBOFUで上位TOP20に入るくらいの曲/作曲者だろうと考えられます。

ただやはり有名になるにはある程度のきっかけが必要です。例えばのだめカンタービレ(ドラマ)をきっかけにベートーベンの交響曲第7番第1楽章が突如有名になったり、DIAVOLOの収録を機にパガニーニの主題による超絶技巧練習曲第6番が有名になったようにです。ていうかパガニーニの主題による練習曲ならともかく、パガニーニの主題による超絶技巧練習曲とか、それこそとりあえず難しい曲が大好きになるスーパー中二病ピアノオタクくらいしか知りませんでしたからね。しかもこれは一般的に言われる超絶技巧練習曲とは別物でして、本当に誰が手出すんだって感じの曲集なんですね。

話がそれましたが、まあ現代まである程度の名前が残ってる曲ならば、まあどれ聴いても一定の効用は得られるだろうというわけで、冒頭に挙げたようなカテゴリの曲を紹介していこうというわけです。

 

1. ベートーベン / 月光ソナタ第2楽章

あの有名な「月光」の第2楽章です。すさまじい逆張りオタク感がにじみ出ますね。有名な第1楽章、第3楽章に比べると月光感ゼロの曲で、なんか紅茶が美味しくなりそうな感じですね。個人的にはこれくらい軽い曲を適当に聞き流すのが好きなので少なくとも1楽章よりは好きです(これが逆張りオタクです)。ちなみに3楽章には超高速67トリルがありますので弐寺プレイヤーは参考にしてみてください。

 

2. ホルスト / 組曲「惑星」より天王星

あの国民的音楽ゲームDance Dance Revolutionにもその構成曲である木星収録された組曲「惑星」から天王星です。そもそも日本における(天体としての)天王星そのものの認知度が7割あるかどうかだと思うんですが、圧倒的ネームバリューを持つ木星や火星を押しのけてあえてこれを推すことでコイツイキってるな感を出せるわけです。それはそれとして、曲自体は壮大に能天気な感じがして好きです。1.5倍くらいで早送りすると気軽に聞けてオススメ。

 

3. スメタナ / 連作交響詩「我が祖国」よりヴィシェフラド

日本人の誰もが高校の音楽の時間で習うであろうスメタナの「我が祖国」からモルダウを差し置いてのヴィシェフラドです。ちなみにモルダウは第2番で、第1番に当たるのがこのヴィシェフラドですね。モルダウもちゃんとフルで聴き直すとすごくいいんですけど(日本で有名な合唱アレンジは今すぐ消し去ってほしいんですけど)、それに先立ってヴィシェフラドを聴いておくとより効用が高まります。なぜかは両方聴けばすぐわかります。この曲自体は寝るときに有用です。

 

4. エルガー / 威風堂々 第4番

イギリスと言えば威風堂々です。威風堂々と言っても、有名なあの曲だけを指すわけではなく、実は全6曲ありましてこれはその第4番です。まあ第1番以外の扱いがどうなってるかはWikipediaの記述量の差を見て頂ければよくわかるかと思います。第1番以外は曲自体の記述よりも楽器編成のほうが長いです。ちなみに第4番は第1番に次いで人気があるそうです。

 

5. ラヴェル / ピアノ協奏曲第1番 第3楽章

雑学編です。ジョゼフ=モーリス・ラヴェルといえばなんといってもボレロですがあえてこの曲を出します。ゴジラのテーマのオマージュ元です。冒頭の4音は昼ドラとかでも使われたりします。雑学でマウントを取りたいあなたにピッタリです。それだけです。

 

6. ショパン / 華麗なる円舞曲

ショパンのワルツと言えば子犬のワルツ華麗なる大円舞曲、あるいは名前はついていなくてもOp.64 嬰ハ短調だと思います。この曲を出すだけでなんだコイツ?みたいな目で見られること間違いなしです。ショパンの曲は「ワルツは3拍子」という認識を忘れさせてくれる曲が多いんですが(これはウィンナ・ワルツではないためです)、その中でも飛びぬけて3拍子感のない曲です。特に第1主題は見事なまでに2拍子です。「ワルツは実は1拍子」とか言ってマウント取ってくる相手にはこれをぶん投げましょう。曲としては軽妙な主題と優雅極まりない中間部の対比が見事ですね。コーダに入ると見せかけて何もなかったように元に戻ったりするあたりも好き。

 

7. シュトラウスII / 皇帝円舞曲

これは有名です。日本でワルツと言えば美しく青きドナウだと思いますがあえてこっちを推します。なぜならワルツなのに2/2拍子で始まるからです。クラシックは優雅で眠くなるものという認識の強い日本ではドナウのほうが人気なんでしょうね。こっちはトムとジェリー「ワルツの王様」で一瞬だけ流れるのを聴いた方も多いと思います。

 

8. ドビュッシー / アラベスク 第2番

ドビュッシーアラベスクと言えば日本人好みのクラシックです。そんなアラベスク第2番です。皆様お気づきかもしれませんが僕は軽くて能天気な曲が好きです。こういう曲がもっと広まって、クソ眠くなる優雅なもの以外のクラシックがもっと流れるようになってほしいです。第1番に比べて有名じゃないのは曲調もあると思いますが、演奏難易度が高くなっている(正確には、適当にそれっぽく弾くのが難しい)のもあると思います。

 

9. ベートーベン / ウェリントンの勝利

本国よりもアメリカで大人気な曲としてチャイコフスキー祝典序曲「1812年」があります。派手な国歌に合わせてシンバルと大砲をじゃーん!ばーん!ってやるド派手な曲だからです。そんな1812年はナポレオンのロシア遠征を描いた曲なのですが、似たようなことをベートーベンもやっていました。それがウェリントンの勝利です。作曲は1813年です。イギリスがフランスに勝利した曲というわけでイギリスで大ウケしてベートーベンは大金持ちになったそうです。それはそうとして曲としては1812年よりもはるかにストレートですね。大太鼓を左右にわけてイギリスとフランスの砲兵隊を担当させたあたりとかいっそ笑えてきます。

 

 

いかがでしたか? 今回は斜に構えたオタクにぴったりな有名そうで微妙に有名じゃないクラシック曲を紹介しました。斜に構えることは悪いことではありませんので、これで皆さんもどんどん斜に構えていくことができますね!