タイピングソフト別に打鍵ログを集計してみた

アドカレ、なんだかんだでタイピングの話で埋めてしまいました。今までさんざんふわふわした話してきたので、データを集めることもあるんですよというお話です。

今回は「1打鍵にかかる時間」で統計を取った時に、ソフトウェア間でどんな差が出るかというのを調べてみました。顕著な差が出てくれれば面白いんですけど、さていかに。

1打鍵にかかる時間は、「前のキーを打ってから該当キーを打つまでにかかる時間」として定義します。例えば1200kpmなら、平均0.05秒あるいは50ミリ秒ということです。なお、急ぎでデータを取ってこの記事を書いてるのでキー種類ごとの解析はできてません。

 

今回調べたソフトは以下の通りです。

1. タイプウェル国語R - 基本常用語

2. e-typing - 腕試しレベルチェック

3. 打鍵トレーナー - さくさくタイピング

4. WeatherTyping3 - 公式ワード1

5. Typing Tube - ドレミファPARTY

6. Typing Tube - Twist of Fate feat. Ruriling

7. Taki Software - English

8. UTyping - リトル・チャレンジャー (該当リンクと同一曲、記号なしver)

 

各ソフトや曲を選んだ理由というのもありますが、ともあれまずは見ていきましょう。

 

1. タイプウェル国語R - 基本常用語

なんというかタイパーとしてはこれを外したら怒られる気がします。ちなみに2012年2月以降ほとんど打っておらず、去年11月に購入した新PCには導入さえしてないという酷い状況です。やってる内容自体はかなり特殊ですが、これを標準的なソフトと言い切ってしまうのがタイパー界隈の何とも言えないところだと思います。

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横軸の数字はミリ秒単位です。つまり、上の図で言うと

20ミリ秒内に打ったキーが13個

20ミリ秒~39ミリ秒で打ったキーが76個

40ミリ秒~59ミリ秒で打ったキーが116個

ということになります。これを見てみると、60~79ミリ秒が多くて、その周りに奇麗に分布してる感じがします。ちなみに記録は26.6秒、速度にして15.03打/秒、平均1打あたり67ミリ秒です。データともいい感じに一致してますね。

これ単体だけ見てもしょうがないので他のソフトもどんどん見ていきましょう。

 

2. e-typing - 腕試しレベルチェック

今回打ったワードは「ことわざ」です。短文から長文までまんべんなく分布してますが、平均18打くらいでしょうか? 誰かデータ持ってませんかね。ちなみにe-typing自体はRTC予選以降一回も打ってません。ことわざもほとんど打ってないです……

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結果です。ワード待ちの時間はカットしてあります。。結果は693 - 0 = 693点、rkpmは931でした。平均1打あたり64ミリ秒ですね。

タイプウェルと比較すると、わずかに速度が上がってる分40-59と60-79の比率が逆転しました。ただ<20の割合が大きく下がっていて (3打鍵しかありません) 、先読みがほとんどできないために同時打鍵での処理が減っているようです。この3打鍵はいずれも文末、右手での片手処理でした。以下の3つです。

亀の甲より年のc ou

閑古鳥が鳴 ku

痩せても枯れて mo

最後に無理矢理ねじ込む傾向というのが明確に見えていて面白いですね。文頭・中間・文末それぞれで平均速度とか出してみると何かしら傾向が見えるんじゃないかと思います、今後の課題。

 

3. 打鍵トレーナー - さくさくタイピング

さくさくタイピングは昔結構やりこんで、850くらいまで出してたと思います。e-typingと同じ「文がまとめて表示されて、それから打つ」ゲームではありますが、全部のワードを覚えていて、かつ最適化も十分なされているので違う結果が出ることを期待しています。

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なんかすげえ偏り方しました。結果は813 - 43でした。地味に800超えてて嬉しい限りです。rkpmは920くらいだと思います。

何より目を引くのは39ミリ秒以下の割合ですね。合わせて33%もあります。逆に140ミリ秒以上の割合も上二つに比べると増えていて4%くらいになっています。つまり二極化が激しいというわけです。

さくさくタイピングはアルペジオで処理できる文字列を意図的に増やしてありますので、それを39ミリ秒以内に抑えてバカバカ打ってるんですね。一方で43ミスもしてるので、そこのリカバリに140ミリ秒以上かかってる打鍵が増えてるんだと思います。また、かすりミスで<20の値が増えているような気もします。要検証。

 

4. WeatherTyping3 - ワード1

RTC2018でも使われましたWT3です。ワード1はLv11まで出しているので相当やりこんでる方です。ただLv11出して以降はほとんど打ってません。30ワードとか長すぎてやってられなかったので10ワードだけ打ちました。こいつ全然タイピングやってないな

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記録は1043 - 98 = 34015点でした。なんですかねこれ。今まで占有比で1位か2位を保っていた40-59の割合が異常に低いです。細分化するのがめんどくさかったんで真面目に見てないんですが、20-39の中での30ミリ秒以下の割合も上の3つのソフトに比べるとパッと見高そうです。ちなみにこのデータはミスしてる部分を適当に端折って処理しています。

これが最適化をしすぎた結果というわけです。アルペジオ打鍵を39ミリ秒以内に抑えて、そうでないところは60ミリ秒以上かけてゆっくり打ってる傾向がはっきりしています。これを待ってました。

100ミリ秒以上かかってるところを見るとやっぱり同指連打が多いです。「ata」の並びでtが103、aが34みたいなのを見るとまさにそんな感じがします。

 

5. Typing Tube - ドレミファPARTY

最近少しだけプレイしているTyping Tubeからデータを採りました。WeatherTyping同様、完全に文字が見えている状態=最適化の準備ができている状態で、かつ100%の正確性を求められるゲームということで採用。ちなみにこの曲を選んだ理由は、単純に短くて100%を出しやすかった上に、最低限の速度を要求されるという都合のいい曲だったからです。

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そういえばTyping Tubeは仕様上平均速度がわかりません。そういう点ではTypingManiaを使うべきでしたが……新PCにはデータが入っていませんでした。

分布としては正規分布にも見えますが、平均値付近、すなわち60-79の割合がかなり高いです。僕は正確性を求められるシーンでは打鍵速度を一定に保とうとしていますので、それがきれいに反映された形になっていると思います。その割には>160がやたら多いですが……多分ワードのせいだと思います。

かかってる時間の平均は72ミリ秒で、ここからrkpmを計算すると839 kpmになります。文頭のロスを考えると多分780 kpmくらいでしょう。WT、打トレ、エタイに比べると平均値と最頻値が一致していることから打鍵速度を意識的に制御していることが分かります。

 

6. Typing Tube - Twist of Fate feat. Ruriling

単純に日本語以外だとどうなるか気になっただけです。

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奇麗な正規分布です。かかった時間の平均は81ミリ秒、rkpmに直せば740 kpmです。

流石に打鍵自体が遅くなってるのでグラフが右に偏ってますが、興味深いのは<20の打鍵が一切ないことですね。39ミリ秒以下もかなり少ないです。韓国語とはいえ同時押しで処理できる打鍵列はかなり多いはずなんですが、それができてないということですね。ひいてはこれが日本語以外での打鍵速度、トプスピ低下につながっているんでしょうが……意識して練習しないとここは改善しないでしょうね。

ワードは大体覚えてますので、先読みが追い付いてないということは無いです。多言語はほとんどInterstenoで練習してましたので、1分または10分打ち続けという影響かもしれません。

 

7. Taki software - English

というわけでInterstenoです。本当は多言語でデータ取りたかったんですが、配列が入っていなかったのでしょうがなく英語です。10分は長すぎたので1分です。

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めちゃくちゃ打ちにくいワードを引きまして、566 - 0 = 566点でした。backspaceは14回押したようです。

上のTwist of Fateをさらに右に寄せた形……にも見えますが、やっぱり>160の割合の高さが目につきます。パッと見た感じですとBackspaceの前後にあるようですが、時々何もない場所で300ミリ秒くらい静止してたりします。ミスがないかの確認です。バクスぺの前後だと酷いところで1秒近く (986ミリ秒) 止まってるところもありました。最頻値は60-79、まあグラフの形からすると多分80ミリ秒くらいが最頻値だと思うんですが、それが566 kpmという絶望的な数字に落ち込んでる理由はやっぱり修正有のソフトであるからということでしょう。

逆に言えば、正確性をほぼ100%にして、かつ自信満々に打つことができれば今の僕程度の打鍵速度でも打ちにくいワードでさえ750点くらいは取れるはずなんですね。正確性がいかに重要かという教訓。

 

8. UTyping - リトル・チャレンジャー

この手の解析するときはこのゲームが一番面白い結果が出る気がします。なぜなら打鍵速度が完全に曲依存だからです。

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はい予想通りです。1文字打つのは39ミリ秒以内、次の文字が来るまで160ミリ秒以上かかってるわけです。

ただ一つ予想外なのは<20の割合の低さです。無意識に速度をセーブしているのか、もしくはWTくらい必死な状況にならないと20ミリ秒を切るような同時押しはしないのかもしれません。

サークル待ちの時間を切ったタイプの解析をしてみるのも興味深いです。が、さすがにめんどくさいので……

 

 

おまけ. Be-Music Source file - Finixe [SEIRIOS]

一言でいえば BMS です。動画はこちら。

BPM222の16分、つまり平均888 kpmの乱打ができる譜面で、かつ今のPCに入っていてyoutubeに譜面動画がある曲ということで選定しました。

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888 kpmだと打鍵間は平均68ミリ秒くらいになるはずなんですが……全然そんなことないですね。僕のリズム感が絶望的ということです。

あとBMSは同時押しが多い関係で<20が最頻になるはずなんですが最頻値は20-39になっています。つまり同時と思って押している打鍵が20ミリ秒以上ズレているわけです。これではスコアなんて出るはずがありませんね……

ただ、この計測中は相当ゲームが重くてまともにプレイできてなかったのでタイマー精度も酷いことになっていた可能性があります。上手い人に同じ実験をしてみてほしいところです。

 

最後に、全部のデータを正規化して並べた物を載せておきます。

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色が足りなくて超見にくいですが、なんとなく雰囲気で察してください。分かったのは並べてみたけど特に何の情報も引き出せなかったということです。